2020年第3回公認心理師試験第1問
問1 要支援者と公認心理師の関係について適切なものを一つ選べ
①心理療法の面接時間は、要支援者のニーズに合わせてその都度変えるのが良い。
②投薬が必要になり、精神科に紹介したケースも必要であれば心理的支援を継続する
③知らない人に対して気後れして話が出来ないという友人の母親のカウンセリングを引き受ける
④大学付属の心理相談室で新規ケースのインテーク面接を行う場合、受理するかどうかは一人で決める
⑤.学校内で自殺者が出た場合の緊急介入時には、事実を伝えるのは亡くなった生徒と親しかった少数のみに限定するのが原則である。
回答は2
クライエントとの関係についてですね。
これについては多重関係などが過去の問題でも必ず問われています。
まずはそれぞれの問題を見ていきます
①これは時間をきちんと決めたほうが良いでしょう。そもそも通常の心理療法は「○○分いくら」というように設定することが多いと思います。ニーズに合わせてそれをその都度変えると枠がぐちゃぐちゃになると思われます
②適切です。「必要であれば心理支援を継続する」その通りです。疾患によってはマイナスになることもありますが、この問題では「必要ならばやるよ」というので問題ないと思われます。
③これは多重関係についてですね。後ほど触れます
④この問題では大学付属とありますが、それに限らず組織であれば上司などがきちんと承認する仕組みでやっていると思われます。組織で対応するのが原則と思われますのでこれは不適切です。
⑤2020年第3回試験第4問でもこれと同様のことが聞かれてますね。第4問では自殺のポストベンションについて問われています。残された人たちの心のケアをどうするか?残された人たちは「配偶者、両親、子供、上司、同僚、友人などでその人たちの個別的で多様な「感情の問題」「身体症状の問題」「認知の問題」を少しでも改善するケアを行う」、となっています。それに基づいて考えると、「親しかった少数」だけが対象とは考えにくいです。よってこれは不適切であると考えます。
よって回答2が適切であると考えます。
さて、多重関係ですが、
・複数の専門的関係性の中で業務を行っている状況
・専門家とそれ以外の明確・意図的な役割を持っている状況
と定義づけられています。
例としては「カウンセラーとクライエントでありながらお隣同士」などが挙げられます。
なぜこれが良くないかというと、カウンセラーとクライエントとして以外にお隣さんとしての情報が入ると中立性、客観性が損なわれるということがあります。それに、お隣さんに知られたくない情報というのはあるはずで、いくら守秘義務があるからと言っても、十分な自己開示ができるとは思えません。
よって避けるべきこととなっています。
昔は精神科の世界ではかなり厳しくこれを守っていたように感じるのですが、最近は少し緩くなってますかね?というか、厳密に守るのが難しくなっているように思います。町医者などが近所のおばあちゃんを診察するような感覚に近くなったと自分は感じています。それだけ精神科の受診がハードルが下がったのかなとも思います。
心理療法はそうはいかないんでしょうけどね・・・