銀河英雄伝説の自由惑星同盟宇宙艦隊の艦艇数についての考察 銀河帝国との国力比から推測してみる

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銀河英雄伝説でよく議論になるのが「同盟軍はバーラトの和約のあとにビュコックが2万隻以上集めて1戦交えた後、ヤンのもとに2万隻以上という戦力をあつめた。ということはバーミリオン星域会戦の終了時に4万隻以上の艦艇があったのか?」というもの。これについて同盟軍の艦艇数のみを根拠に検証しているものを多く見かけるが、今回は帝国軍の戦力から本編開始直前の同盟軍艦艇数を導き出し、バーラトの和約(本編第5巻終了時)時点での同盟軍戦力を推測したい。

 

 まず根拠となる数字として大事なのが、ルビンスキーなどがよく口にする

 

帝国48 同盟40 フェザーン12

 

という国力比だ。これが何をベースにした国力比なのかよくわからないが、単純にこれをそのまま戦力比にあてはめてみたいと思う。

 まず帝国軍の制式艦隊の戦力を推計してみる。根拠とするのは「ラインハルトが元帥府を開いた際に宇宙艦隊の戦力の半分を傘下においた」という記述。1個艦隊の正式な数が不明なのでここでは13000隻で数を統一し計算してみる

 

帝国軍 アムリッツア戦役前

 

ラインハルト元帥府 ミュッケンベルガー元帥府

ロイエンタール    詳細な艦隊数不明

ミッターマイヤー   ラインハルトと同等として10万隻前後

ビッテンフェルト

ケンプ

メックリンガー

ワーレン

ルッツ

キルヒアイス

 

104000隻(推計)

推計でしかないが、元帥府開設の際に艦隊司令官とされた提督が8名。よって8個艦隊を指揮下に置き各艦隊の艦艇数が13000隻とした場合約104000隻がラインハルト指揮下の艦艇と考えられる。同数をミュッケンベルガー麾下とすると約20万隻が帝国軍の制式艦隊数になると推測される

 

 

一方同盟軍は、本編開始時に制式艦隊は12,それぞれを13000隻として計算すると156000隻となり国力比48:40、つまり帝国の83%の戦力が保持できると仮定すると、20万隻と15.6万隻という数字になりおおよそつり合いが保てる計算となる。

 

つぎに制式艦隊以外の部隊となる。これの数の推測は困難だが、同盟が作中で集めた戦力がモートン、カールセンの14.15艦隊でおよそ2万隻。ヤンがガイエスブルク要塞攻略のために指揮したのが約5000隻。概算で3万隻程度だろうか?帝国軍が3.5万~4万隻と推測されるが、正直不明である。単純に帝国軍5万隻、同盟軍4万隻としておく

 

そして忘れてはならないのが帝国貴族の私兵である。これを戦力と計上するのはいささか苦しいが、ガイエスブルク要塞に集結した際の戦力を15万隻とした場合、ミュッケンベルガーが指揮下に置いていた提督も参戦しており(シュターデンなど)、およそ10万隻のミュッケンベルガー元帥府のうち2/3の戦力が参加したものとして、6万隻が正規軍、9万隻が貴族の私兵と推測する。

 ラインハルトが宇宙艦隊司令官になったのち、アムリッツアでビッテンフェルト艦隊が大損害を受け、ミュラー艦隊が新設されており、それらの編成で2万隻の艦艇を使用し、残りの8万隻のうち6万隻が貴族側で参戦したとするならば妥当な数かと思われる。

 

以上から帝国軍の艦艇総数は約34万隻ではないかと考えられる。

 

ここから同盟軍の戦力を推測すると

 

アスターテ会戦前は制式艦隊が12で艦艇数が156000隻。これに追加して制式艦隊以外の戦力を作中の描写から推測した4万隻、さらに貴族の戦力を考慮してさらに7万隻程度はあったのではないかとすると約26~27万隻となる

 

34万対26万 

 

これでおよそ帝国軍の75%の艦艇を同盟は所有していることとなり国力比と整合性が取れると思われる。

 

 

では次に同盟軍の被害を見ていく。主要な戦闘での被害は以下の通り。

 

同盟軍の被害

 

アスターテ星域会戦 損害200万人(参加兵力の50%) 2万隻の被害

帝国領侵攻作戦  損害2000万人(70%の損害) 7万隻の損失

クーデター鎮圧  損害 第11艦隊 13000隻の損失

要塞対要塞戦   アラルコン、グエン艦隊 5000隻の損失

ランテマリオ星域会戦 損害不明 だが33000隻のうち7割として2万隻

バーミリオン星域会戦 艦艇7140隻

 

合計135140~140000隻?

 

以上となった。これは喪失艦艇の数と思われるが、この数を先ほど推計した同盟軍の総艦艇数26万隻から除すると、それでもなお12万隻の艦艇が同盟領にあったということになる。半数が戦闘による損傷や老朽化、故障などの理由で使用不能だったとしてもなお6万隻以上がある計算になる。

 

以上が帝国と同盟の国力比から推測した同盟軍艦艇数の推計となる。自分が最初に原作を読んだ際に「ビュコックとチュンはどこから軍艦を持って来たんだ?」と頭を悩ませた記憶がある。気になっていろいろなブログなどを読んだが、ヤン艦隊がバーミリオンの戦いを終えて残った戦力をバーラトの和約時の戦力としているものが多く、実際はそうなのだろうが、あえてアンチテーゼを投げかけさせてもらった。

もう30年以上前の作品の話だが、ファンの心に刺さればうれしいと思う。

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