准看護師制度は雇用対策として必要だと考える

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准看護師についてはいろいろな団体がそれぞれの思惑で問題や課題を語っていて一概に良しあしは言えないが、医療従事者として個人的な意見を述べさせてもらいます。

准看護師の質の問題

看護師団体は、准看護師と看護師資格の一本化を目指しています。その背景には准看護師への質の問題があるように思います。国もあまり准看護師という資格に対してよい印象を持っていないように思われます。質が悪いとか思ってるようです。
また、海外では「ラヒホタイヤ」という保健医療総合職があり、それの導入を国は狙っているように思われます。ラヒホタイヤが導入されればいろいろな業界の人材の融通が楽になりますからね。

看護師の確保の問題

一方で医師会は准看護師制度について賛成の意見を述べています。これは看護師士資格取得前の人材を雇用し、働きながら学生として資格取得させることで、確保が困難な看護師を確保できるからです。そのかわり、次の項目に挙げるお礼奉公という問題が出てきます。

お礼奉公に関しての問題

お礼奉公とは、医療機関に勤めながら准看護師資格を取得した場合、一定の期間その病院に雇用されることで学費が免除になる仕組みの通称です。
(例:病院から学費の貸し付けを受けて看護師学校に通った場合、4年以上働いた場合に学費の返還を免除するなどの規定)
この期間に病院を退職したことで、訴訟になるケースもあります。これが労働基準法の契約期間の定めに違反するといった内容ですが、前近代的との批判もあります。

最近の看護師

ここ最近は、大学で看護学科を設置するところが増え、就職に強いということで人気がありました。4年間きっちり教育を受けて質の高い看護師が確保されるので国としてはこれを押していきたいところなのでしょう。大学で4年間みっちり教育を受けると保健師も取れますからね。国としては質の高い看護師を養成しているとい考えているでしょう。

現場の実感

個人的には一緒に仕事していて、病棟では准看護師か正看護師かを意識することはあまりありません。
みな、同じように頑張っています。最近の准看護師のカリキュラムはかなり高度で教科書を見た医師が「こんなことまでやるの」とびっくりするくらいです。
一方で病棟の外に出ると様相は様変わりします。准看護師は診療報酬が取れないが正看護師は取れるという場面がよくあるので「〇〇さんはこの仕事ができない」などと肩書を意識する場面が多くあります。仕事ぶりに差がない人でこのような肩書の問題にぶつかるといつも考えさせられてしまいます。

こういったいろいろな思惑とは別に、個人的に准看護師を応援したい理由があります。それは、これまで資格などを持たず、経済的にも恵まれていない人が安定した雇用を手に入れるチャンスだという側面です。
みんな様々な理由があって気が付くといい年齢になっていたということもあるかと思います。あとから焦っても仕方ないのですが、そういった際に准看護師資格の取得は経済的に余裕がない人が安定雇用を手に入れるいいチャンスになります。その分、同職からの風当たりが強いなどと言われていますが・・・けれど、看護学生として雇用された人が看護師資格を取得して、経済的にも余裕ができたのか、身なりや持ち物がよくなっていく様を見ていると同僚としてちょっとうれしくなることがあります。
それに中には若いころは世界中を駆け回っていて落ち着くために准看護師資格を取得したという人もいて、人間的に個性的で面白い人とも出会えるので、そういった意味で楽しみでもあります。こういう人で精神保健福祉士などをとろうという人もいますが、私は看護師の方をおすすめします。そっちの方が日本中どこに行っても雇用はありますから。

そんなわけで、個人的にはこの「病院が支援して准看護師資格を取得する代わりに一定期間その医療機関に勤務するシステム」は問題もありますが、あって損はないシステムであるように思います。やむを得ない事情である程度の年齢になってしまう人もいるのですから。そういった人への雇用の解決策を提示せずに廃止を訴えるのは少し乱暴じゃないですかね?
自分の同年代は就職氷河期として正規雇用されたくても不可能だった人間が多くいる世代です。こういった世代もこのシステムであればまだ資格と雇用を手に入れるチャンスがあるのです。あまりいい話じゃないですが、こういったシステムが続くことを願います。

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