精神科の任意入院とは
任意入院とは自分の意志で精神科病棟に入院することです。精神保健福祉法には任意入院という項目がありその中には
第二十条 精神科病院の管理者は、精神障害者を入院させる場合においては、本人の同意に基づいて入院が行われるように努めなければならない。
という規定があり精神科に入院する場合はなるべく自分の意志による入院にするようにと定められています。精神科には俗に言う強制入院の制度があるため、通常の入院として任意入院がきちんと定められています。
この任意入院をする場合、入院中の患者に対して一切の行動を制限することはあってはならないとなっています。つまり本来ならば閉鎖病棟に任意入院することはできないわけです。閉鎖できる建物に入院する、それが精神医療の現状なので、これも当たり前すぎる事なのですが規定があるのです。
そのために任意入院をするときに「入院への同意書」や「閉鎖病棟への入院の同意書」などを記入する必要があります。
ここで自らの意志による入院が成立する条件として「契約に同意できるか」といった要素が出てきます。それは精神病の症状により自らのことを適切に理解できない状態の他、知的障害や認知症により同意能力に欠ける場合も含まれてきます。ここが一般科と精神科の大きな違いになります。
施設職員から精神科に担当のケースを入院させようという相談がよくあるのですが、その際に施設とよく祖語が発生するのがこの点になります。家族の同行を求めることは一般科と一緒ですが精神科の場合はその続柄も重要になってきます。
そんな任意入院について適切に行われているかは毎年監査が入りチェックされています。この監査は「実地指導」と呼ばれていて、精神科での処遇(治療以外のところ)が適切に行われているかがチェックされます。基本的には
夜間などを除いて病棟の出入りができること
退院したいと自ら希望すれば退院できること
任意入院に同意していない人が任意入院として入院していないか
このあたりのポイントにチェックが入ります。
精神科は強制入院が認められているので人権侵害とは常に隣り合わせの環境です。勤務しているスタッフもその点に留意していないと意外なところで人権を侵害することにつながるので、きちんと知識を身に着けて日頃の業務を行うべきでしょう。